講演会:木村 学氏:世界をつなぐ陸と海 ― 2021/02/19 17:06
2021年2月17日(水)19時30分から21時00分まで、「第98回ICB講演会:木村学氏「世界をつなぐ陸と海」がオンラインで開かれました。
ICB(Center for International Capacity Building )は、NPO国際人材創出支援センターのことで、『国際的な場で活躍していく、していきたい人の育成・支援を目指し、意欲ある人たちが集まって学び合う「地の磁場」を提供してい』る組織です(ICBウェブサイト より)。
木村氏は、地球科学、特に地質学で大きな業績を上げ、若いときから海外で地質調査を行っているほか、国際深海掘削計画の首席研究員を務めました。
地質学会や地球惑星科学連合の会長を歴任し、学術会議の第三部会員を務め、現在は連携会員です。日本地球惑星科学連合とアメリカ地球物理学連合、アジア・オセアニア地球科学連合、ヨーロッパ地球科学連合との連携を実現し、2020年にはアメリカ地球物理学連合とのオンライン大会を実現させました。
今回の講演内容は、次のとおりでした。
1. 固体地球観の大転換 プレートテクトニクス
2. 地球生命・環境観の大転換
3. アジアの地殻変動と環境変動そして人類進化
4. 国際連携で謎・問題解決に迫る→日米欧亜・学会連携
講演は、非常にきれいな図を示して行われ分かりやすかったです。つい先日、2月13日に発生した「福島県沖地震」の震源についての説明もありました。また、南海トラフの北側が海底を含め北西方向に年間5cmほどで移動していると紹介がありました。この図を見ると、中央構造線を境に北側で水平方向の変位速度が小さくなっていることが分かります。沈み込みによるプレート間の巨大地震だけでなく、中央構造線付近での直下型地震にも注意が必要なことを示していると感じました。
南海トラフでのボーリング掘削の結果と解析結果が紹介されました。その中で、高速すべり(地震による変動)の証拠が、論文の査読でなかなか認められなかった苦労話が出ました。
質疑応答も含めて非常に面白い講演でした。