本の紹介:先制攻撃できる自衛隊 ― 2021/02/18 16:27

半田 滋、安保法制下で進む! 先制攻撃できる自衛隊 新防衛大綱・中期防がもたらすもの。あけび書房、2019年5月。
2012(平成24)年に第二次安倍政権が発足して以来、先制攻撃できる自衛隊への変貌が急速に進められています。それもアメリカ軍と一体で行動できるように装備その他を整えつつあります。
下の表に示したように、2014年に集団的自衛権行使容認を閣議決定し、2015年日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を改訂、これに合うように安保法制を強引に成立させます。2017年には「共謀罪」法が成立し、2018年には18防衛計画大綱を閣議決定します。ここでは、大陸間弾道弾、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母の保有を検討し、専守防衛を放棄してアメリカ軍と一体で軍事行動をするための総仕上げが行われます。
図1-1 安倍・菅政権と防衛関係事項(1)
(半田、「先制攻撃できる自衛隊」に加筆)
図1-2 安倍・菅政権と防衛関係事項(2)
(同上)
図2 安倍政権の防衛費推移
(防衛省ウェブサイトによる)
憲法九条に自衛隊を明記することを目指しつつ、実質的に海外でアメリカ軍と一体で戦争をする体制を整えつつあるのが現在の自衛隊です。
長年防衛関係の取材をしてきた著者ならではの内容となっています。南スーダンに派遣され首都のジュバで大統領派と武装勢力の撃ち合いに遭遇した中力 修(ちゅうりき・おさむ)一佐は、撃ち合いの事実は知らなかったそうですが、分かっていたら武器使用に踏み切っていたかを問われ、即座に「それはない」と明快に答え、その理由も話してくれたそうです。
憲法改正で自衛隊を明記したいと自民党は考えていますが、それによって何が変わるのかについて最後に述べています。
日本の安全保障はどうあるべきかを考える重要な情報が満載の本です。