本の紹介:武漢日記 ― 2021/02/14 18:28

方方(ファンファン)著、飯塚 容(ゆとり)・渡辺新一訳、武漢日記 封鎖下60日の魂の記録。河出書房新社、2020年9月。
発行されてから大分経っているので、読んだ人も多いと思います。
2020年1月23日(木)、新型コロナの流行によって人口900万人の武漢市は封鎖されました。その2日後の1月25日から封鎖解除が発表された3月24日(木)までの60日間、著者は毎日ブログを書き続けました。
1月25日のブログは、「私のブログはまだ発信可能だろうか。以前、街頭で下品な言葉を叫ぶ若者たちを批判したとき、私のブログは閉鎖されてしまった」という言葉で始まります。友人の勧めもあり、封鎖中の様子をブログで発表し続けようと決心します。
毎日の文章の頭には短い言葉が置かれています。
1月27日「私たちにはマスクがない」、1月29日「自分を守ることが協力になる」、3月1日「私たちの涙が尽きることはない」、そして3月23日「あらゆる疑問に答える人がいない」、3月24日「私はうるわしい戦いを終えた」。
ネットでの中傷、政府の横暴など、日本も中国もそんなに変わらないなと言うのが最初の感想でした。
市民が置かれた状況は、去年や今年の日本とは比べものにならないほど厳しいものでした。そんな中で市民同士の助け合い、食料をみんなで注文して配達してもらうとか、正しい情報の交換とか、市民が出来ることを懸命にやった記録でもあります。
異常な状態では、記録を残すことに意義があることを痛感しました。