札幌市の創成川通の都市計画変更に関する説明会2020/09/26 14:45

札幌新道と札幌中心部を結ぶ国道5号・創成川通の改良工事についての説明会は,20209月に5会場で計8回開かれました.その最後となった923日(水)の栄西地区会館での説明会に行ってみました.事前申込者は22人だったそうで,多目的ホールは余裕の広さでした.

 

創成通説明会

写真 説明会の会場の様子

多目的ホールで開かれました.左に座っているのが札幌市総合交通計画部長,右が説明をした担当課長です.札幌市のウェブサイトに載っている資料が配られ,パワーポイントで説明が行われました.

 

まず,札幌市の総合交通計画部の担当課長(多分,交通計画課長)から以下の説明がありました.

1)      創成川通の現況

2)      構造形式の比較・選定

3)      道路計画案の内容

4)      今後の手続き

 

1)      について

・同じ規模のほかの都市に比べて最寄りの高速道路のインターチェンジが遠いというのがそもそもの出発点の様です.

しかし,これは功罪あって,駅のすぐ近くに高速道路の橋脚がそびえているというのはあまり感心したものではありません.博多駅がそれに近い状態になっていて,かなりの圧迫感があります.

・都心から札幌北インターチェンジへの移動時間が,夏は20分程度,冬は最悪60分かかるといいます.

しかし,冬でも60%ほどは40分未満で,20分未満が30%ほどです.今回の説明会で地元の人が述べていたところでは,朝の通勤時間帯でも渋滞に引っかかったことは,ほとんど無いとのことでした.

・大雪の時に渋滞するのは当然で,ほかの道路が渋滞すると予想して創成川通に集中するのだと思います.

・主要渋滞個所は5か所と説明がありました.この箇所を改良するだけでも渋滞は,かなり改善されるのではないでしょうか.

 

2)      について

・地下整備(最大費用1,200億円,以下同じ),高架整備(1,200億円),上下分離整備(1,050億円),交差点改良(170億円)の四つの案が提示され,地下整備が第三者委員会で採用されました.これにもとづいて都市計画審議会に説明し実施することになります.

・経済性の観点からは交差点改良が他の案に比べておおよそ15%の費用で済みます.ですから,一般的な工法比較でいえば交差点改良が採用されます.なぜ,7倍の費用がかかる案を採用するのか説得力はあまりないです.なししろ,地下整備でトンネルが完成して短縮される時間は,8~10分とされています.

・今回の説明会で,コロナ後の社会をどうするかを考え直さなければいけない時期であり,一度立ち止まって再検討する必要があるという意見が出たのは当然でしょう.

・交差点改良でどの程度,時間短縮ができるのかを検討し,効果が薄いということであれば,ほかの三つの案を検討するというのが普通のやり方のように思います.

・交差点改良で示されているのは右折レーンの新設です.しかし,これだけ情報技術が発達しているのですから,全市的な交通状況を把握して信号を替える時間を時間,曜日,月の状況に応じて変化させることで渋滞は大きく改善できるでしょう.

・実際,交差点で横断車両が全くないのに長いこと赤信号で待たされるということは,日常的に経験することです.札幌新道から札幌駅あるいは大通までは道路は碁盤の目です.管理は比較的やりやすいと思います.

 

3)      について

・高速道路から都心までの時間を短くすると言いながら,高速道路から直接,創成川通につながるのは小樽方面へ行く路線から中心部に向かう場合だけです.それ以外は今の北インターチェンジを利用します.用地の問題があり,どちらにも行けるインターチェンジを作ることができないためです.この点からも,信号機の連携を含めた交差点改良を真剣に検討すべきでしょう.

 

<感 想>

担当課長が丁寧に質問に対応していたことは評価できます.しかし,既定路線を変えるつもりはないようで,明言しませんでしたが新幹線が開通する2030(令和十二)年には利用できるように,ことは進むのでしょう.

費用対効果の算定はしていないと担当課長は言っていましたが,おそらく効果があるという数字は出てこないように思います.例えば,創成トンネル完成後の交通量は,地上部道路を合わせても以前より減少しているという結果が出ています.

今回の道路がつながる創成トンネルは,延長1,100m172億円の事業費で公園整備に,さらに21億円かけています.創成トンネルは上下線合わせて2,200mですからメーター当たり約780万円かかっています.今回の事業は上下線合わせて延長9,000m1,200億円ですから,メーター当たり約1,300万円です.

東京外かく環状道路で工事費が当初の12820億円から大幅に増加し,23575億円と1.8倍になるとの報道がありました.このようなことが無いよう,一度立ち止まって再検討するなど慎重な対応が必要でしょう.

あとは,維持管理にどの程度かかるかでしょう.地上の道路は残るのですから,余分な費用が掛かることになります.それも含めて考える必要があると思います.