ダム工学会編「総説 岩盤の地質調査と評価」 ― 2013/05/15 16:31
この本の正式名称は「総説 岩盤の地質調査と評価 現場技術者必携 ダムのボーリング調査技術の体系と展開」(2012年12月,一般社団法人ダム工学会編,古今書院)です。

この本を発行した大きな動機は次の点にあると思います。
「本書「総説 岩盤の地質調査と評価 現場技術者必携 ダムのボーリング調査技術の体系と展開」は,次代を担う若手技術者,現場技術者のために著されたボーリング調査技術を軸とする地質調査と評価の解説書である。“地質と土木”の連携を強く意識し,地質調査のあり方,および地質情報の取得と評価,設計・施工への適用の考え方と方法について,基本から応用,最新技術まで幅広く解説している。」(本書「刊行によせて」前土木学会会長 阪田憲次)
この本は単なる技術の解説ではなく,「基本的考え方」を随所で述べているのが大きな特徴です。つまり、それぞれの技術の目的を丁寧に述べています。
索引を入れて529頁という大部な本ですから,すべてを読み通すには時間がかかりますが,一通り目を通し,どこに何が書いたあるかを頭に入れておいて,実際に業務をこなしながら必要なところを読み込んでいくのが良いと思います。
また,ダム調査に関わる技術者だけでなく,岩盤の調査に従事する人に読んで欲しい本です。
確かに,ダム建設は大規模な自然破壊を伴います。しかし,安定的な上水や灌漑用水の供給,洪水被害の低減,発電などに役立ってきたことも確かです。
そして,地質調査としては,総合的な技術が求められ,地質技術者として技術を磨くことが出来ます。数十年単位で見ると,今後,老朽化したり不要になったダムをどのようにしていくのかが問題になってくる可能性があります。そのためには,建設時の技術を伝えていく必要があるでしょう。
目次の概要を紹介しておきます。
第1編 岩盤の地質調査とボーリング技術一般
第2編 ダムサイトの地質調査
第3編 堤体材料の地質調査
第4編 斜面の地質調査
第5編 ボーリング調査技術と管理・保管