「ローマ人の物語 全ての道はローマに通ず」 ― 2010/05/11 17:45

塩野七生氏の「ローマ人の物語」を文庫で読み始めて半年以上になりました.ようやく27に到達しました.折しも土木学会誌(5月号,65p)の私の本棚で森杉壽芳氏(東北大学経済学研究科)がローマ人の物語27,28を紹介しています.
文庫本は2冊合わせても1,000円弱で買えますが,ローマ時代の様々な遺構がカラーで紹介されている上に,古代と現代の道路網の地図までついているという’超お得版’となっています.
ローマの道路網の建設は紀元前3世紀に始まりました.ちょうどこの頃中国では万里の長城の建設が始まっているそうです.しかし,万里の長城が外敵の侵入を防ぐ目的で建設されたのに対し,ローマの街道網は第一の目的は軍隊の敏速な移動であったのですが,ローマ帝国内の交流を大きく促進する役割を担っていました.
そして,感心するのはその維持を数百年にわたって行っていたこと,街道沿いには宿や馬の交換所や馬車などの修理所を一定の距離で設けていたことです.そして,郵便制度もあったというのです.
遺構で一番迫力のあるのは水道橋です.フランス.ニームの3階建ての水道橋やチュニジア,カルタゴの畑の中を走る水道橋の写真は感動ものです.
ローマ人は社会資本整備を「人間が人間らしい生活を送るためには必要な大事業」と考えていたらしいと著者は言います.また,借金(国債発行)などしないで予算内で可能な事業だけをするという風にして息長く道路網などを整備していったと言います.
土木に関わる人はこの2冊だけでも読むことをお奨めします.
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