本の紹介:猿田佐世 編著、米中の狭間を生き抜く ― 2022/02/15 09:03

猿田佐世 編著、米中の狭間を生き抜く−対米従属に縛られないフィリピンの安全保障とは−。かもがわ出版、2021年12月。
1987年2月に承認されたフィリピン共和国憲法には次の条文があります。
第18条 移行期規定 第25項 軍事基地に関するフィリピン共和国とアメリカ合衆国との協定が1991年に満了した後、外国軍基地、軍隊、またはその施設をフィリピンに置くことは、上院が批准した条約に基づく場合を除き許可されない。議会が必要と判断した場合は、条約や協定の批准に当たって、国民投票を実施し、過半数の賛成で批准を認めることもできる。
(石山永一郎 訳・解説、日本語で読む フィリピン憲法。2021年3月、柘植書房新社)
1991年8月、フィリピン政府とアメリカ政府は、フィリピンにあるスービック海軍基地の使用期限を10年間延長する比米友好平和条約に調印しました。しかし、フィリピン議会の上院が反対し条約は不成立となりました。上院が反対した理由は次の点でした(本書、54−55ページ)。
(1) 比米友好平和条約は、経済的利益関係の平等性が保たれておらず、形式・中身とも一方的かつ不平等な協定である。
(2) 同条約は、フィリピン憲法に定める自主的な対外政策を尊重していない。
(3) 同条約を否決しても、フィリピンは経済的障壁を乗り越えることができる。
(4) 米国の軍事施設は国際平和の維持に寄与するものではない。
(5) 在比米軍基地は植民地主義と国内干渉の道具であり、フィリピンに対する主権侵害の道具であった。
1992年には、フィリピンから全てのアメリカ軍基地が撤去されました。
なお、フィリピンの憲法第2条8項に「フィリピンは、国益に一致するものとして、領土内において非核兵器政策を採用し、かつ、追求する」(本書、50ページ)という条項があります。この条項が1997年に発効した東南アジア非核兵器地帯条約(バンコク条約)の布石になったとされているそうです(石山、13ページ)
新型コロナウィルスのオミクロン株の感染が米軍基地から広がったという事実だけ見ても、日本が独立を達成していないことは明らかだと思います。
日本が真の独立を達成するにはどうしたらよいかを考える知恵が色々と詰まった内容の本です。