等々力渓谷 ― 2024/01/23 12:06
等々力渓谷は多摩川の北岸にある渓谷で、深さは約20mあります。この渓谷をつくっている川は、谷沢川(やざわ・がわ)で、似たような川は丸子川、仙川、野川などがあります。
「谷沢川は、世田谷区桜岡付近に源を発し、上用賀、等々力など世田谷区南東部を南へ流下し、多摩川左岸に合流する一級河川です」(東京都建設局)。
渓谷と呼ばれるほどの深い谷が残っているのは等々力渓谷だけのようで、奇跡的な地形です。
地質的には、東急大井町線・等々力駅の南西にある「成城石井」のすぐ裏の橋(通称ゴルフ橋)付近で、上総層群の露頭を見ることができます。等々力不動尊付近では、上から関東ローム層(東京軽石:Hk-TPテフラ;約6.5万年前を含む)、武蔵野礫層、東京層が東の崖面で観察できるようです。「ようです」というのは、昔は見えていたけど今は見えない地層があるからです。
図1 等々力渓谷(地理院地図に加筆)
綠の範囲が、ほぼ自然状態で残っている等々力渓谷です。谷沢川が多摩川と合流点する地点には水門があります。上流の中町から先は完全に改修された直線の流路となっています。
渓谷沿いの遊歩道は、等々力駅のすぐ南、渓谷が直角に曲がる付近から下流に付けられています。2023年12月27日の時点では、不動尊から上流は通行止めになっています。
図2 不動尊付近の断面図(地理院地図により作製)
図1の断面線の横断図です。渓谷の底からの崖の高さは約20mあり、渓谷にふさわしい地形です。
今回は、東急田園都市線の二子玉川駅で降りて、多摩川の河川敷を下流に歩いて渓谷と多摩川の合流点まで行き、渓谷の遊歩道を遡り、不動尊から右岸(西側)の台地に上がって渓谷を時々見下ろしながら、環八通りの歩道橋を渡って左岸に移り、谷沢川が直線になっている中町まで歩きました。ゆっくり見ながら歩いて3時間ほどでした。
写真1 多摩川河川敷から見た東急田園都市線・二子玉川駅
右手、遊歩道の先の白い建物が二子玉川駅です。二子玉川駅から等々力渓谷の入口までは約2.5kmあります。
写真2 等々力渓谷(谷沢川)と多摩川の合流点
多摩川の河川敷から見た谷沢川の出口です。水門が設けられていて、少し上流まで矢板で護岸された流路となっています。この日は暖かかったため、上半身裸で魚を捕っている子供たちがいました。
写真3 都道312号を横断する丸子川
この道をまっすぐ行って台地に上に出ると、左手に等々力不動尊があります。手前の橋は谷沢川と交差して東に流れる丸子川を渡る玉根橋です。この橋の手前を左に行くと谷沢川に行けます。
写真4 谷沢川分水路工事の看板
上流の国道246号脇の玉川台広場から谷沢川の河口まで、約3.2kmの水路トンネル工事を行っています。
写真5 谷沢川の下流部
丸子川と多摩川の交差点付近(無名1号橋)から谷沢川の上流を見たものです。矢板で完全に護岸されていて川幅よりも深さが大きい感じです。正面の森のあたりが武蔵野台地の縁になります。
写真6 等々力渓谷の案内板
等々力渓谷の下流入口右岸の遊歩道脇にある案内板です。不動尊から上流は通行止めとなっているので、不動尊まで登ったあと渓谷に下りて右岸(西側)の日本庭園を通って環状8号線の玉沢橋へ行きました。
一番右(北)のゴルフ橋が遊歩道の最上流です。
写真7 不動尊手前の左岸(東)に露出するローム層
表面は風化して崩れやすくなっています。私の記憶では、冬には数十cmの霜柱ができることがあります。
写真8 等々力不動尊下の湧水群
この露頭では、上部の関東ローム層、湧水している武蔵野礫層と東京層(下末吉層)の境界が分かります。ローム層の下底付近にHK-TPテフラがあるはずです。上総層群は、ここでは見えていません。
写真9 環八通り(都道311号)の玉沢橋
中央の左右に森がある所が等々力渓谷です。道路の標高は約33mで、渓谷の底は約17mです。歩道橋の上から東を見たものです。
写真10 玉沢橋から遊歩道を見下ろす
通行止めになっている遊歩道には落ち葉が積もっています。5万分の1地質図福「東京南西部」では環八通りから等々力駅付近まで上総層群(高津互層)が渓谷の両岸に露出しています。
写真11 等々力渓谷遊歩道の最上流の案内板
等々力駅のすぐ南にあるゴルフ橋の左岸にある案内板です。ここが遊歩道の最上流で谷底までの深さは5〜8mです。ゴルフ橋はスーパーマーケット「成城石井」のすぐ南の東西方向の道路に架かる橋です。
写真12 ゴルフ橋から下流を見る
遊歩道は左岸(東側)に付いています。右岸の水の上の黒灰色の平坦面とシュロの木の下の崖は、上総層群と思われます。
写真13 ゴルフ橋の上流を見る「
ここからは、がっちりと護岸が施工されています。カモの絶好の休み場となっています。
写真14 等々力渓谷に沿って走る東急大井町線
等々力駅のすぐ南西でほぼ90°曲がり、この付近では西から東へと流下します。両岸は護岸されて住宅が「渓谷」まで迫っています。
写真15 直線化された谷沢川
この先は直線化された開水路になります。グーグルアースでは首都高速3号渋谷線の脇の玉川台広場(玉川台一丁目)まで追うことができます。5万分の1地質図福「東京南西部」では、さらに北の桜丘4丁目付近まで河川流路を描いています。
<参考文献>
岡 重文・菊地隆男・桂島 茂、1984、地域地質研究報告 5万分の1地質図幅「東京南西部」。
七山太・重野清之・石井正之、2023、武蔵野台地(山の手)の地質断面とそこから読み解ける地形発達史―世田谷区、等々力渓谷でのジオ散歩のススメ—。GSJ地質ニュース、Vol.12(NO.12)、336-349。
( GSJトップページ> 出版物とサービス( https://www.gsj.jp/publications/gcn/index.html ) > GSJ 地質ニュース> GSJ 地質ニュース Vol.12 No.12> p336-349 )
















