憲法施行79周年 STOP改憲! 5・3憲法集会2026/05/07 16:27

 53日午前10時から、憲法施行79周年の集会が開かれました。主催は「戦争をさせない北海道委員会」です。

 

2026年5月3日憲法集会

 パネルディスカッションでは、北星学園大学教授の岩本一郎さん(写真左)が司会兼パネリストで、室蘭工業大学大学院教授の清末愛砂さん(オンライン参加)、弁護士の池田賢太さん(写真右)がパネリストとして意見を述べました。なお、清末さんは神奈川からのオンライン参加でした(以下、敬称は略します)。

 

<岩本>

 現在、国民の憲法意識はどうなっているのか、改憲論議のどう対応したら良いのかの二つが今日の議題です。

 

<池田>

 憲法の三つの原理は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義です。この原理と生活の回路とが繋がっていない人がいます。

 

<岩本>

 世代間ギャップの話をしたいと思います。

 東大などが行った憲法についての調査があります。それによると

A:憲法は国の理想の姿を示したもの

B:憲法は国を縛るもの

 という二つを選んでもらったところ、Aだという人が64%Bという人が34%でした。Aと応えた人の多くは、憲法は柔軟に適用すれば良いと考えていました。時代に合わないのであれば改憲するのが良いと言うことです。Aと答えた理由は、憲法前文に国の理想の姿が書かれていると考えていることのようです。

 北星学園大学で学生にアンケートを実施したところ、Bと応えた人が多かったです。立憲主義の考え方が浸透していると感じました。

 

<清末>

 私は、憲法24条(家族生活における個人の尊厳と両性の平等)の研究を長年やってきました。学生の意識の変化を感じています。学生が保守化しているというのは疑問に思っています。リベラルだしパワハラはダメと考えています。

 憲法を教えるのは難しいです。単位が欲しいという学生もいれば教職のために必要という学生もいます。

 学生には基本的人権を中心に九条、前文を教えています。学生は貧困に関しては敏感です。

 授業では1回目と2回目の授業が重要です。立憲主義というのは自分の権利を発揮できるようにするものです。前文を音読すると人権の問題をクリアにしやすいです。九条は難しいです。

 二つの暴力、つまり軍事力と家父長制という近代世界からの脱却が大切だと思います。

 

<池田>

 私は、いわゆる左の弁護士です。企業の法律顧問などをやっているある弁護士と話したとき「憲法と商法(?)をやっていれば左になるよ」と言われてビックリしました。

 安倍晋三元首相の国葬は違憲だとする裁判では、裁判所は取り合わない態度を示し、市民の訴えを棄却しました。憲法を出したら負けだと言われています。

 自衛隊イラク派兵差止訴訟では、憲法九条一項違反であるという判決が出ました。同性婚裁判でも違憲判決が出ました。

 元最高裁判事の宇賀克也氏は、説明責任があると言って幾つもの個別意見を出しています。

 

<岩本>

 国民は勤労の権利を持っています(憲法二七条:勤労の権利および義務、勤労条件の基準、児童酷使の禁止)。働く場を設けるのは国の責任です。この点で、裁判官の意識と国民の生活との間にギャップがあるように感じます。

 

<池田>

 裁判官の裏での議論では、人権侵害を認めないことがまかり通っているようです。

 

<岩本>

 裁判官の間では、憲法は法律よりも下の最低ランクとされているようです。

 

<清末>

 憲法と家族法でも司法、立法の場で、憲法が軽視されています。

 憲法第242項と民法2条は、両性の平等を謳っていますが、司法、立法では生活に生かされていません。

 夫婦別姓の裁判では少数意見ですが司法が憲法を考慮しました。

 

<岩本>

 社会的に立場の弱い人が求めるのが人権で、憲法第25条(生存権、国の社会保障的義務)は憲法草案の国会議論の中で発議され付け加えられたものです。権利ですから国は保障する義務があります。

 権利を侵害されている当事者のことを具体的に考える必要があります。例えば、婚外子の子を持つ女性で二重国籍であると言った人です。 優生保護法は立法目的自体が違憲だとされました。市民の連帯が大事です。

 

<清末>

 家族法は弱い者を守る法律です。憲法第24条と第25条は連なっています。近代からの脱却です。

 第24条の1項は明治憲法の反省の上に書かれたものです。育児とか介護の負担は夫婦平等にと言うことです。家父長制からの開放であり力による支配の否定です。これは憲法前文の「恒久の平和を念願し」という平和主義に連なっています。

 反抗すると暴力でたたきのめすといった家庭内暴力は、イスラエルがパレスチナに対して行っているのと同じ論理です。

 

<池田>

 現在、武器輸出の5類型を撤廃しようとしています。スパイ防止法ではスパイと判断する根拠が不明で、すべての日本人が対象となり市民監視が強まります。これらの流れは、個別法で憲法を実質的に破るものです。

 自衛隊の情報保全隊裁判というのが仙台高裁であり、情報保全隊の情報収集は違法であるという判決が出ました。しかし、今進められている国家安全保障会議の強化では、閣議よりも国家安全保障会議の方が上位に位置付けられる可能性があります。

 

<岩本>

 憲法は国の権力を縛るものですから、政治家をイライラさせるものです。憲法に緊急事態条項を加えることは、議会での審議なしに内閣が命令をすることができる状態をつくることになります。

 

<清末>

 九条改定については、来年の地方選挙が大事です。緊急事態条項については、自民党案と維新の会案があります。維新の会案は2012年の自民党案とほぼ同じ内容です。

 衆議院では憲法改定に動いています。後から加わった条項が力になります。また、自衛権という言葉は、イスラエルがパレスチナで行っているジェノサイドを見ても分かるとおり、敵をたたきのめすと言うことです。

 

<岩本>

 いろいろな意見の人たちが共通認識を持てるようなプラットフォームが必要だと思います。

 

<感 想>

 憲法の第24条と第25条が繋がっていること、さらに前文の平和主義が連なるというのは、目からウロコの感じでした。

 そして、家庭内暴力がイスラエルのパレスチナでのジェノサイドと同じ論理にあると言うのも、なるほどと思いました。


 憲法を読んでみれば分かりますが、前文の主語は「日本国民は、・・」で始まります。「日本国は」でも「日本政府は」でもありません。国民が決意し宣言し憲法を確定しているのです。この前文から、「憲法は国の理想の姿を示したもの」という考えが出てくるのは、完全な誤読です。あるいは前文を読んでいないかです。

 

 現実的に考えて、中国やロシアあるいは北朝鮮が日本を攻撃するという動機は、ほとんど無いと思います。現在、政府が進めている九州や南西諸島方面へのミサイル配備は一体何を目的にしているのか、理解に苦しむところです。2倍以上に増えた防衛費を使うために行っているのではないかと勘ぐりたくなります。


 余談ですが、北海道大学理学部の故湊 正雄氏は、助手・助教授時代に陸軍省燃料廠勤務となり、主にスマトラで油田の探査、開発に従事しました(井尻ほか編、氷雪に甦り氷雪に消ゆ、築地書館、1985)。

資源争奪戦争となった場合、地質関係者は軍隊に取られ、海外に派遣されることを覚悟しなければならないでしょう。

 

始めて53日に行われる憲法集会に参加しましたが、非常に勉強になりました。