芳賀ひらく著「江戸の崖 東京の崖」 ― 2013/04/21 22:23

東北本線や東北新幹線が上野に近づくと、右手に結構高い崖がずっと続いています。この崖について、永井荷風は「崖の中で最も偉大なものであろう」(日和下駄)と書いたそうです。確かに、この崖は印象的で結構な距離、線路伝いに続いています。
こんな話から始まり、東京の崖についてのうんちくが、この本には詰まっています。そして、何と言ってもカシミールを使った三次元地形図を豊富に載せているのが魅力です。また、現地の写真も豊富で説明は分かりやすいです。時代も、縄文海進から江戸時代そして現代へと飛び回ります。
地形好きにはこたえられない本です。
(講談社、2012年8月。1,800円+消費税)
山陰近畿自動車道「第14トンネル」の崩落事故 ― 2013/04/26 16:21
京丹後市大宮三重で建設中の第14トンネルの切羽近くで崩落が発生し,昼方作業班のリーダーの方が崩れた土砂に埋まって怪我をし病院に搬送されましたが,死亡が確認されました。崩落が起こったのは,2013年4月13日正午過ぎのことです。
ご冥福をお祈りします。
事故は,発破・ズリ出し作業が終わり,切羽周辺の点検をしている時に発生したようです。崩落の規模は,「左奥の側面が縦7m,横7m,奥行き3m」とされています(京都新聞ウェブサイト:http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20130423000159)。
トンネル延長は1,964mで,最大土被りは約260mです。北側の京丹後市三重地区から与謝野町石田に向かって逆勾配で掘削していて,崩落したのは坑口から約600mの地点と伝えられています。この付近の土被りは100m程度と想像されます。おおよその緯度・経度は北緯35度33分30秒,東経135度07分23秒です。
地質は古第三紀前期の黒雲母花崗岩が大部分を占め,崩落地点も黒雲母花崗岩のようです。南坑口付近に閃緑岩が出現するようです。トンネルが通過する山体は,北東ー南西方向に延びていて,トンネルはこれにほぼ直交しています。この尾根は明らかな非対称尾根で,南東側は急峻であるのに対して,崩落の発生した北西側斜面は比較的緩い斜面となっています。何らかの理由で地山全体が劣化している可能性があります。
坑口付近はマサで重機により掘削していましたが,2013年2月19日時点では,かなり硬い岩が切羽に出現してきてCII〜CIと判定しています(http://www.kyo-doko.jp/kensetsun/20130227124154066.html)。
マサや火砕流,未固結から半固結の砂岩類というのは,突発的に崩壊するので注意が必要です。風化した花崗岩類ではよくクサビ破壊を起こしますが,これを予想することは大変難しいです。崩壊したあと,同じ走向・傾斜の節理を探そうと思っても見つからないことがあります。
砂質系の地山は突然崩れることがあるので,十分な注意が必要です。
なお,京都府道路公社ウェブサイトの「みちづくりかわら版 第77号」以降に第14トンネルの進捗状況が載っています。
ご冥福をお祈りします。
事故は,発破・ズリ出し作業が終わり,切羽周辺の点検をしている時に発生したようです。崩落の規模は,「左奥の側面が縦7m,横7m,奥行き3m」とされています(京都新聞ウェブサイト:http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20130423000159)。
トンネル延長は1,964mで,最大土被りは約260mです。北側の京丹後市三重地区から与謝野町石田に向かって逆勾配で掘削していて,崩落したのは坑口から約600mの地点と伝えられています。この付近の土被りは100m程度と想像されます。おおよその緯度・経度は北緯35度33分30秒,東経135度07分23秒です。
地質は古第三紀前期の黒雲母花崗岩が大部分を占め,崩落地点も黒雲母花崗岩のようです。南坑口付近に閃緑岩が出現するようです。トンネルが通過する山体は,北東ー南西方向に延びていて,トンネルはこれにほぼ直交しています。この尾根は明らかな非対称尾根で,南東側は急峻であるのに対して,崩落の発生した北西側斜面は比較的緩い斜面となっています。何らかの理由で地山全体が劣化している可能性があります。
坑口付近はマサで重機により掘削していましたが,2013年2月19日時点では,かなり硬い岩が切羽に出現してきてCII〜CIと判定しています(http://www.kyo-doko.jp/kensetsun/20130227124154066.html)。
マサや火砕流,未固結から半固結の砂岩類というのは,突発的に崩壊するので注意が必要です。風化した花崗岩類ではよくクサビ破壊を起こしますが,これを予想することは大変難しいです。崩壊したあと,同じ走向・傾斜の節理を探そうと思っても見つからないことがあります。
砂質系の地山は突然崩れることがあるので,十分な注意が必要です。
なお,京都府道路公社ウェブサイトの「みちづくりかわら版 第77号」以降に第14トンネルの進捗状況が載っています。
宮地正人著「幕末維新変革史」 ― 2013/04/26 21:02

「本書の目的は,あとからの解釈をできるだけ挿入せず,当時の日本人がどのように彼らの現代史をとらえ,理解し行動したかを,当時の資料から再構成することにある。」(あとがき)
そのために,読み下し文ではあるが,当時の文章が随所に出てくる。それによって,当時の人が何を考えていたのかを,ほとんど生の形で感じることができる。
この本の中で印象的な人物が何人かいる。吉田松陰,松浦武四郎,勝海舟,島崎藤村の「夜明け前」に登場する人々,清河八郎,西郷隆盛,岩倉具視,福沢諭吉,田中正造と言った人たちである。
田中正造のあの反骨精神がどうのように形成されたのかも実感を持って納得できる。
松浦武四郎が,あれほどの蝦夷探検をできた経済的裏付けも理解できた。
なぜ,西郷隆盛が西南戦争に大将として参加したのか,完全には理解できないまでも,彼の考え方そのものに関わることであったらしいとは理解できた。
その他,あの時代を生きた人々の意志とそれらの総体としての歴史の動きが,多少なりとも理解できたと思う。
宮内正人,幕末維新変革史(上),2012年8月,岩波書店。3,200円(税別)
宮内正人,幕末維新変革史(下),2012年9月,岩波書店。3,200円(税別)