第61回 K&iウェブアカデミー ― 2026/07/02 17:39
2026年6月26日(金)午後2時30分から同4時5分まで、第61回 K&iウェブアカデミーが開かれました。
プログラムを下に示しました。ここでは、大丸裕武氏の講演の概要を記します。
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・大丸裕武(だいまる・ひろむ)氏(教授:石川県立大学 生物資源環境学部 環境科学科 流域環境学研究室)
2024年の能登半島地震と奥能登豪雨災害の地形学研究から考える地域防災
・瀧口善樹氏(参事:日本植生株式会社 設計部)
災害復旧における対策工法のご紹介~とどかなかったところへ、とどく技術がある!~
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<大丸裕武氏>
大丸氏は、金沢市の北、能登半島の付け根にあり日本海に面した内灘町の出身です。北大地質学鉱物学科から北大の環境科学研究科に進み、森林総合研究所に勤務しました。2023年4月から石川県立大学に移り、地理空間情報を扱っています。
輪島市の町野町で2024年能登半島地震で発生した地すべり地形の解析を行いました。
地形図は0.5mメッシュのDEMを使いました。要素としては、地上開度、植生高、斜面傾斜、地質、樹種、震度です。受け盤か流れ盤かといった地質の影響をうまく取り入れないと実際に合わないと感じました。そこで、斜面の法線と地層の法線のなす角度(φ値)を取り入れました。
今回の地震で発生した最大規模の地すべりである大久保地すべり、天笠山(てんがい・やま)東斜面の地すべりを解析しました。地すべり発生に効いてくる要素としては、地すべりでは、標高>震度>地質>地質構造で、崩壊では斜面傾斜>植生(耕作放棄地が多い)です。
植生高が低いと崩壊が発生しやすく、地すべりが発生した場所は植生高が高い傾向にあります。杉は水分の多いところに生えます。
標高は140m、270m、300m超の場所に地すべりが多い傾向があります。
地すべりのタイプとしては並進型が多いです。地すべりの前部が移動して後ろが付いてくると言う移動形態です。
頭部陥没の炭素14年代測定では、2,140yBpと5,500yBpに集中が見られました。
町野川支流の鈴屋川流域の地すべりは、標高140m〜170mで発生していました。
大久保地すべりでは、標高270m以上での発生が70%を占めていました。ここは珪質泥岩が分布しています。
町野川の西にある天笠山の地すべりは珪質泥岩の分布域で水が多いです。
2024年9月21日〜23日にかけて発生した豪雨災害についてです。
1月の地震によって地すべりなどが発生し土砂が移動したため地形が変化しました。その状態のところに豪雨が来たため崩壊が発生しました。
珠洲市若山町の吉祥寺地すべりでは、落ち切れていない土砂が斜面に残っています。Web地図の活用が必須です。
<感 想>
1993年の北海道南西沖地震の時、奥尻島の道道の崩壊状況の調査を行いました。崩壊土砂は転石混じりの砂が主体で、雨が降っても再度移動はしないだろうと感じました。
4年ほど前に奥尻島で調査をしたときに、1993年の地震で動いた土砂がそのまま斜面に残っているのを確認しました。地質は白亜紀の花崗岩です。
能登半島の場合、地質構造や地質構成が異なっているので、地震で崩壊した土砂が雨で再移動する場合があると言うことを知り、大変勉強になりました。
地質構造が受け盤か流れ盤かを表現するのにφ値を提案しているのは感心しました。