本の紹介:海と陸をつなぐ進化論 ― 2019/08/19 17:51

須藤 斎(いつき),海と陸をつなぐ進化論 気候変動と微生物がもたらした驚きの共進化.2018年12月,講談社ブルーバックス.
プランクトンの一種である珪藻の話から始まってクジラの話まで,海の生物の進化についての話です.
プランクトンの中でも珪藻の一種であるキートケロス属は休眠胞子化石をたくさん堆積物中に残しています.このキートケロス属の休眠胞子化石を丹念に調べ,その急激な増加から少なくとも三つのイベントがあったことを明らかにしています.
キートケロス属の休眠胞子の増加は,気候が寒冷化して海での湧昇が活発になったためです.その時代は,始新世と漸新世の境界付近の3,390万年前,中期中新世の850万年前,前期更新世の250万年前です.
この事変に合わせてクジラなどの海の生物が分岐しているように見えます.つまり,気候変動が原因となりプランクトンが増え,それによって海の哺乳類が進化したと考えられる証拠が集まってきています.
以上のようなことを明らかにしてきた著者の足取りも同時に述べられています.
単なる珪藻の話ではなく,まさに海に住む微小な生物と大型の生物が共進化した様子を,珪藻の研究から明らかにした内容です.
非常に面白い内容で,多くの人に読んで欲しいと思います.