令和8年熊本地震・2ヶ月報告会 ― 2026/10/03 17:30
2026年9月29日(火)午後1時00分から同6時40分まで、防災学術連携体主催の標記報告会が開かれました。Zoomで視聴しました。
この報告会の様子は、防災学術連携体のホームページからYouTubeで視聴できます。また、当日のパワーポイントは、防災学術連携体のウェブサイトからダウンロードできます。
プログラムの概要は下のようでした。
4つのセッションで20の発表がありました。
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セッション1 「令和8年熊本地震について」
日本地震学会 日本活断層学会 日本地理学会 日本応用地質学会 日本第四紀学会
セッション2 「被害状況と対策についてI」
土木学会 地盤工学会 日本火災学会 農業農村工学会 日本建築学会
セッション3 「被害状況と対策についてII」
日本航空宇宙学会 日本リモートセンシング学会 廃棄物資源循環学会 農村計画学会 地域安全学会
セッション4 「避難・救援・支援活動について」
日本災害医学会 日本災害看護学会 空気調和・衛生工学会 日本自然災害学会日本安全教育学会
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興味をひいた報告を記します。
<和田 章氏:防災学術連携体代表理事;東京科学大学名誉教授>
趣旨説明
防災学術連携体は、学協会の垣根を外して交流を行っています。
例えば、耐震構造研究では理学と工学の面から明らかにする課題があります。工学は、その理屈が分かっていなくても進むという面があります。また、カタストロフィックな現象への対応も迫られます。
<松本 聡氏:九州大学>
日本地震学会「令和8年熊本地震後の日奈久断層帯における地震・DAS観測」
布田川(ふたがわ)断層では2016年の地震以来、広い範囲で地震活動が活発化していました。それから10年で隣接した日奈久(ひなぐ)断層で地震が発生しました。
光ファイバー・ケーブルによる地震波の観測を行いました(DAS観測)。30kmの観測線を使って5m間隔で観測を行いました。国交省がすでに敷設していた光ファイバー・ケーブルを使いました。2026年2月から8月までの観測で、断層周辺に後続波があることが分かりました。
<遠田晋次氏:東北大学災害科学国際研究所>
日本活断層学会「平成熊本地震から令和熊本地震:地殻活動と活断層研究」
阿蘇から続く日奈久断層は、「くの字」に曲がって布田川断層に続きます。平成地震(2016年熊本地震)では、2mの横ずれ断層でした。令和地震(2026年熊本地震)では、正断層が発生しています。
布田川断層でトレンチ調査を行ったところ、地震発生の平均間隔は2,000年で最も新しい前回の地震は2,000年前でした。
地震後も余効すべりによる変位が観測されています。断層直上に構造物があり、変位が見られるものがあります。
<熊原康博氏:広島大学>
日本地理学会「2026年熊本地震に伴う地表地震断層の地域的特徴」
地表地震断層の分布を把握し、148地点で変位量を計測しました。右横ずれで西落ちの断層が多いです。宇土半島の南の氷川町での水平変位が大きいです。
日本地理学会では、来年(2027)年夏に報告会を開く予定です。
<吾妻 崇氏:産業技術総合研究所>
日本第四紀学会「日奈久断層帯における古地震と地表地震断層(速報)」
今回発生した地表地震断層は、これまで考えられていた日奈久断層帯の断層線とずれているところがあります。氷川町付近が最も大きくずれています。
地震本部の2013年の再検討では、布田川断層帯と日奈久断層帯の二つの起震断層としていて、発生確率は30年確率で0〜6%としていました。2019年に九州大学が検討した結果は、同0.88%以下となっています。
<池内幸司氏:河川情報センター理事長、東京大学名誉教授>
今回の地震では家屋被害、道路被害などがありました。
九州自動車道の妙見第一橋では、約1.5mの段差が生じました。地震による地表断層の変位を考慮した対応が必要です。
妙見第一橋の北にある水無川橋梁では、46cmの沈下と36cmの水平移動が見られました。
球磨川では堤防が沈下しました。
水道施設が被害を受けたため広域で断水が発生しました。
二次災害としては、酷暑、大雨、在宅避難や車中泊による健康障害などがあります。
教訓としては、震央のすぐ近くにあった橋梁が地震に耐えた事例があり、対策次第では被害を減らすことができます。災害対応車両を事前に登録しておいて遅滞なく救援に行けるようにすることが有効です。海から医療機能を維持することも有効です。防衛省のPFI船舶「はくおうII」(大型フェリー)の利用は有効でした。
過去の教訓を使えるようにすることが必要です。構造物の地盤変位への対応、被害連鎖を止めること、地震後の雨や酷暑による複合災害に対応する体制を作ることなどが必要です。
<椋木(むくのき)俊文氏:熊本大学>
地盤工学会「令和8年熊本地震の地盤災害調査報告」
地盤災害についてです。
八代周辺では長周期振動が卓越し、氷川付近では短周期地震動でした。
宇城市豊野町では80cmの右ずれ、宇城市小川町の かるかや橋 では橋台と主桁間に70cmのズレが発生しました。
球磨川河口の堤防に変位が出ました。
液状化の発生箇所を空中写真で確認し現地調査しました。江戸時代から始まった八代市の干拓地(水を排除)では液状化が比較的少なく、埋め立て地(土砂を投入)に液状化が集中していました。
<感 想>
それぞれ方の発表時間は、質問と合わせて15分と短い報告会でした。それでも、いろいろな分野の話が聞けて非常に参考になりました。
それにしても、10年間に同じような規模の地震が起きるというのは、単純に地殻の歪みで説明できるのだろうかと疑問に思います。