鹿島JVと東日本高速道路株式会社による住民監視2024/04/11 20:23

 こんな記事は書きたくないのですが、超一流建設会社による、あまりにもひどい行為であり、事が明らかになってからの対応のひどさに、本当にまずいと思ったので書きます。

 

 現在、東京外かく環状道路(外環道)のシールドトンネル工事が行われています。この工事でトンネル上の住宅が傾くなど、さまざまな被害が出ました。そのため、地盤改良工事を行っているさなかに明らかになった住民監視・盗撮という「犯罪行為」です。

 

 住民監視を行っていたのが明らかになったのは、鹿島建設株式会社を幹事社とする鹿島JV(鹿島・前田・三井住友・鉄建・西武 特定建設工事共同企業体)が施工中の「東京外かく環状道路 本線トンネル(南行)東名北工事」です。

 

鹿島JVシールド機

鹿島JVのシールド機(東京外環プロジェクトのウェブサイトより)

 

 この工事では、202010月に東京都・調布市の住宅街で陥没事故を起こし、20238月から陥没事故への対応として緩んだ地盤を補修する工事を行っています。

 

 「しんぶん 赤旗 日曜版」の2024310日・17日合併号で「東京外環道 鹿島が住民を監視・盗撮」と報じられました。

 

 住民の方たちの行動を「グループチャット」を使い工事関係者らが知らせ合い、リアルタイムで情報を共有していたというものです。

 チャットの中には「■■工事長に報告済み」という記載もあったそうです。鹿島JVNEXCO東日本が共同で行っていたことは、はっきりしています。「工事長」というのは、NEXCOが道路公団であった時代からある名称で、ある工事事務所(この場合は、東京外環工事事務所)の中で工区ごとに工事長が責任を持つ体制になっています。

 

 この件については、202438日と同14日の2回、共産党の山添 拓・参議院議員らや地元住民に対して、国交省とNEXCO東日本からレクチャー(詳しい説明という意味)が行われました。

 38日のレクチャーのあと、313日に鹿島建設は「弊社の東京外かく環状道路 本線トンネル(南行)東名北工事に関する報道について」と題する「お知らせ」をウェブサイトに載せました。

 

 そこでは、「監視・盗撮と誤解されるような行為や不適切な表現での情報交換を厳に慎み、・・」と述べているだけで、誤解されるような行為であったこととチャットの表現が不適切だったことを認めただけで、住民が言うような「監視・盗撮」はしていないという内容となっています。

 つまり、現場周辺の安全確保のための行為であり、住民に対する行為自体は問題ないということです。

 

 この鹿島建設の「お知らせ」が、国土交通省、斉藤鉄夫国土交通大臣も含め、NEXCO東日本、鹿島JVの共通の態度表明となっています。斉藤国土交通大臣は326日に参議院予算委員会で「周辺住民に対して礼節を欠いた表現を用いていたことは不適切だった。」と述べています(NHK 首都圏NEWS WEB 2024326日)。

 

 武内更一弁護士は「損害賠償の請求可能な人権侵害の不法行為」(しんぶん 赤旗 日曜版、2024310日・17日合併号)と述べています。この点に対する謝罪もなければ、「監視・盗撮」をやめるという、はっきりした態度表明もありません。

 

 

 日本の国が壊れていっているのを見ているようで本当に残念です。