シンポジウム「私たちの北海道を “再エネ植民地“ にさせないために」 ― 2022/11/24 13:15
標記シンポジウムが2022年11月23日(水:勤労感謝の日)13時20分から16時50分まで、札幌エルプラザで開かれました。北海道風力発電問題ネットワークと北海道自然保護協会の共催でした。
風力発電所は難しいなというのが感想です。
確かに、太陽からの熱と光よって動かされている大気の動きからエネルギーを受け取るのですから、クリーンなエネルギーであることは間違いないです。しかし、建設によるマイナスの面、稼働中の人や鳥に対する被害など問題が大きいことも確かです。
最近の発電風車は大型していて、例えば小樽余市風力発電所で計画されている風車の羽(ローター)の半径は最大で約68m、羽を支える柱(ピアー)の高さが最大で約110mです。ですから風車の最高点は地上から約178mとなります。基礎のフーチングは幅が約21〜22m、深さが約5mです(双日株式会社、2022年5月、「(仮称)北海道小樽余市風力発電所事業説明会」資料)による)。
一連の講演を聴いて私なりに考えた風力発電所の問題点を挙げると、次のような点があります。
環境問題
・樹木などを伐採することによる環境破壊
・巨大風車が建つことによる景観破壊
・維持管理を含めて風車周辺の作業場の確保による自然破壊
・大型の羽(ブレード)など資機材を運搬するための工事用・維持管理用道路の建設による土砂災害の発生、河川水質への影響
野生生物への影響
・風車が建つことによる環境変化
・バードストライクによる野鳥の死亡
・風車が並んで建つことによる渡り鳥の航路遮断
人への影響
・低周波音、超低周波音による健康被害
事業を進める上での手続きなど
・周辺住民への説明が遅い
・住民の意見を聞いて計画を修正することがほとんど無い
・法律に違反して計画が進められる
今回のシンポジウムでは次の発表がありました。
在田一則 北海道自然保護協会会長:シンポジウムの開催趣旨
道内各地からの現状報告
・佐々木邦夫 風力発電の真実を知る会(稚内市):道北地方における3大事業
・小川拓也 酪農家(豊富町):経済至上主義の再エネ開発 豊富町からの報告
・安田秀子 石狩湾岸の風力発電を考える石狩市民の会(石狩市):石狩からの報告
・手代木隆二 風力発電を考える当別町民の会(当別町):「風力発電を考える当別町民の会」からの報告
・平山秀朋 小樽余市の巨大風力発電から自然と生活を守る会(小樽市):「小樽余市の巨大風力発電から自然と生活を守る会」からの現状報告
・花田行博 常呂能取風発を考える会(北見市):常呂能取風発を考える会
・宇井 尚 大滝そよ風の会(伊達市):大滝そよ風の会(大滝・風車問題検討会)現状報告
専門家による解説・問題提起
・若松伸彦 日本自然保護協会:全国アセスデータからの陸上風力発電計画による自然環境への影響
・田鎖順太 北海道大学大学院助教:風車騒音による健康影響について
・白木彩子 東京農業大学:バードストライクなど野鳥に関すること
総合討論
当日配布された資料「北海道風車マップ(稼働)」および「北海道風車マップ(計画)」によれば、北海道で稼働中あるいは建設中の風車は合わせて487基で、ほとんどが渡島半島から稚内までの日本海側です。太平洋側は伊達・室蘭、浜中・根室くらいです。計画中の風力発弾所は洋上を含めて3,215基です。これも主に日本海側、特にせたな付近、寿都周辺、石狩湾北部、そして幌延町からオホーツク沿岸の浜頓別町以北に集中しています。
豊富町の酪農家の小川拓也氏は、次のように述べました。
2024年から4,200kWの発電風車が8基稼働することになっていて、一番近い風車は家から700mです。子供たちの健康そして家畜への影響を考えると移転しかありません。
石狩湾沿岸は、現在でも風車が林立しています。さらに、石狩市厚田区南部と当別町で合計四つの事業が計画されていて、大型の風力発電機が最大49基建設される計画です。最も近い風車は住宅まで500mで、風車騒音や低周波音の累積的影響が懸念されています。
最後に、当日配られたものの中にあった二冊の絵本を紹介します。
斉藤武一、巨大風車から、故郷を、暮らしを、守りたい。仁木町の風力発電を考える会、2022年8月(連絡先:「あんごの森 銀山」瀬川裕人、電話・ファックス;0135-33-5590)。

仁木のなかまたち 話、中山奈月 画、キニたちの未来。仁木町の風力発電を考える会、2022年10月(連絡先:電話・ファックス;0135-33-5590)。