本の紹介:明治維新10講 ― 2026/05/31 12:10

三谷 博、明治維新10講。岩波新書、2025年12月。
1840年のアヘン戦争で清朝がイギリスに植民地化されました。この事件は幕府を始め日本の人びとに衝撃を与えました。
1853年にはペリーが来航し、翌年、日米和親条約が結ばれました。1857年にはオランダ、ロシアとも通商条約を結びました。
そして、1858年7月29日、日米修好通商条約が締結されます。これは、井伊直弼大老が朝廷の許可を取る段取りを中止して結んだものでした。
同時にこの頃、13代将軍・家定の後継問題が起きていました。後継将軍は、紀伊藩主の徳川慶福(よしとみ)が家茂(いえもち)として14代将軍に決まりました。
こうして、1858年(安政五年)から1890年(明治二三年)の第1回帝国議会開会と憲法施行までの約30年にわたる暴力と言論の時代が始まります。この本は、この流れを詳しく述べています。
江戸時代は、天皇と将軍という二つの権威があり、将軍の下には約270の藩が領地を支配するという連邦体制でした。明治維新は、明治政府にすべての権限が集中する体制への変化であったと著者は言います。
この変革での犠牲者の少なさは、世界的に見て特異であることを数字で示しています。
明治という時代がどのようにつくられたかを知るのに、非常に良い本だと思います。
明治政府は、1868年4月6日に国是、五箇条誓文を公表しました。その第一条は「一 広く会議を興し、万機公論に決すべし」です。つまり、いろいろな会議を開いて世論を考慮して物事を決めると言うことです。
この五箇条誓文は、1868年の鳥羽伏見の戦いのあと、越前の三岡八郎と土佐の福岡孝悌(たかちか)が提案したものに木戸孝允(桂小五郎)が手を加えて完成したものだそうです。
明治という時代がどのような時代だったのかを知りたくて、この本を読み始めました。しかし、今の自民党と維新の会の政府が目指している戦前の国家体制は、これより後の時代だと思います。つまり、日中戦争からアジア太平洋戦争へとつき進んだ昭和初期以降の国家体制なのでしょう。