2019びえいヘルシーマラソン クォーター ― 2019/06/10 20:09
今年も美瑛で10kmを走りました.天気が良く日差しが強かったのですが,風は冷たく,気持ちよく走ることができました.残念ながら,十勝連峰は雲に頭を隠していました.
びえいヘルシーマラソン クォーターのコース
美瑛川右岸にある丸山公園脇の道路からスタートして,ひたすら登って行きます.「三愛の丘展望公園」の先で折り返し,後は,ひたすら下ってきます.
この図で,赤い線は上り,青い線は下りです.
帰りは,白金温泉の先の望岳台に寄り,お湯を沸かし昼飯を食べてから,吹上温泉へ行って疲れを取りました.
中富良野町のファーム富田に寄りました.ラベンダーは,まだ蕾でした.
写真1 望岳台からの十勝岳
沢筋には雪がかなり残っています.
写真2 吹上温泉から見た前十勝
中央の三角の山は前十勝でしょう.頂上の影から噴煙が上がっています.前十勝の左中腹付近から上がっているのはスリバチ火口の噴気です.
写真3 道道吹上富良野線から見た十勝岳
この日は,噴煙がはっきりと見えました.右側の露岩しているところは,安政火口と上ホロカメットク山,上富良野岳です.
写真4 道道吹上富良野線から見た十勝岳
道路の正面に美瑛岳,その左に美瑛富士が並んでいます.十勝岳温泉から吹上温泉をへて白金温泉に抜けるこの道路は,気持ちの良い道です.
写真5 ファーム富田
ラベンダーは,まだ咲いていません.中国系観光客で一杯でした.
写真6 三笠のニセアカシア
この時期,三笠のニセアカシアは見事です.山全体がアカシアの花で白くなります.車で走っていても,花の香りを楽しむことができます.
検証 日米地位協定 ― 2019/06/13 16:34
「しんぶん赤旗」政治部 安保・外交班,検証 日米地位協定 主権を取り戻すために.日本共産党中央委員会出版局,2019年3月.
日米地位協定については,矢部宏治氏,吉田敏浩氏,伊勢崎賢治氏,琉球新報社などが,すぐれた解説本を書いています.
この本は79ページのブックレットですが,
「1 世界に例のない米軍特権(総論)」から始まって,
「14 密約製造器 日米合同委員会(第25条 日米合同委員会)」まで,この協定がいかに不平等であるかを,これでもかと述べています.
つい最近も,高知県本山町上空を米軍機が超低空飛行を行いました.その高度は100mを切っていたという報道があります.それでも,日本政府は何も手を打つことをしません.
この本を読むとその理由がわかります.日米地位協定では,「原則として米軍に国内法は適用されない」となっているからです.まさに,占領状態の継続をもたらしているのが日米地位協定なのです.
読んでいると,日本がおかれている状態に気が滅入ってくるので,少し気持ちが元気な時に読むことが必要です.
この本は,各地の共産党地区委員会に行けば買えると思いますが,アマゾンでも取り寄せられるようです.
本の紹介:平成経済 衰退の本質 ― 2019/06/13 17:09
金子 勝,平成経済 衰退の本質.岩波新書,2019年4月.
「日本はもはや先進国とは言えない。
今の日本は、厳しい目で自分を冷静に見つめ直す謙虚さを失ったかのようである。それこそが,戦後日本の美徳のひとつであったはずなのに、だ。」(本書「はじめに-失われたものを取り戻す」の冒頭).
1997年で経済社会が変わり,日本は衰退へと向かっています.産業が衰退したのは もちろんとして,社会基盤もどんどん壊れてしまいました.
「第5章 ポスト平成時代を切り開くため」として,やり遂げなければならないことを挙げています.それぞれの項目について,より詳しい内容を述べています.
(1)社会基盤として透明で公正なルールが不可欠である
(2)教育機会を平等に保障しなければならない
(3)産業戦略とオープン・プラットフォームを作る
(4)電力会社を解体せよ
(5)地域分散ネットワーク型システムに転換する
(6)時間をかけて財政金融の機能を回復する
経済的にも政治的にも,国家として危機的状況にある現状をまず認め,どう是正していくのか考えるヒントを与えてくれる本です.
2019年度 応用地質学会北海道支部・北海道応用地質研究会 研究発表会 ― 2019/06/16 08:54
2019年6月14日(金),札幌市の寒地土木研究所で表記発表会が開かれました.
挨拶する応用地質学会北海道支部・伊東佳彦支部長
興味深い発表を紹介します.発表者の氏名のみ記します.
桑原 里氏(北海道総合研究機構 地質研究所)
アパタイト化学組成に基づく新しいテフロクロノロジー
アパタイトは燐灰石とも呼ばれ,カルシウムを主成分とするリン酸塩鉱物です.ほとんどの珪長質テフラに含まれていて,溶結や変質作用に対して強く,古いテフラや溶結した火砕流堆積物中でも晶出したときの化学組成を保っています.この性質を利用しアパタイトの化学組成を指標として変質した凝灰岩の対比が試みられています.
まず,第四紀の火砕流堆積物,広域テフラについて
1)アパタイトの化学組成によって対比が可能か
2)溶結作用による影響はあるのか
3)一続きの火砕流堆積物の中で上下方向でのアパタイトの化学組成の変化があるのか
を検討しました.
結果は,対比は可能で,溶結作用による影響は受けず,上下方向での変化が認められる,というものでした.
また,蝦夷層群のような古い時代の地層に含まれる凝灰岩の広域的な対比が,アパタイトによってできることがわかりました.
岡崎健治氏(寒地土木研究所)
先進ボーリング調査による地山分類の効果と分類指標に関する一考察
10のトンネルについて,施工時に実際に採用された地山分類(施工時)と設計時の地山分類(設計時)および先進ボーリングを行って判定した地山分類(先進時)の一致状況を調べました.
施工時に対して設計時,先進時が何段階の差を持って変更したかの割合を施工延長から求めました.次に,設計時と先進時の変更割合を確率変数とした正規分布によって確率密度を求め,両者の標準偏差の差を先進時の効果として定量化しました.
その結果,地山分類は2段階良くなった(-2)から4段階悪くなった(+4)の範囲で変更されていることがわかりました.全体に先進時と施工時とが一致する場合が多いことが,はっきりとしました.
池田光良氏(中央開発株式会社)
2018年北海道胆振東部地震時の斜面崩壊における地下水の役割
胆振東部地震によって発生した斜面崩壊には地下水が大きな役割を果たしています.
崩壊地周辺に分布している火砕岩類は,水理地質的には次のようになります.
樽前 d 軽石層は約9千年前の堆積物です.完新世の始まりは1万1千7百年前ですから,ほぼ完新世の最下部を示しています.つまり,この頃から次第に気候は暖かくなり海水面が上昇してきます.
樽前 d 下部ローム層や恵庭 a 下部ローム層は,難透水層なので上位の降下軽石層の宙水を保持する役割をしています.
表層崩壊では,樽前 d 降下軽石層や恵庭 a 降下軽石層の下底ですべりが生じています.円弧すべりは恵庭 a 降下軽石や支笏降下軽石層1の下底ですべっています.
表1 厚真町周辺に分布する火山灰とその水理地質
(当日使用から部分抽出)
2019年8月5日から9月5日(地震発生の前日)の間に厚真町吉野で262mm,安平町瑞穂で303mm の累積降水量を記録しました.水収支を計算すると,これらの水は火砕物中の宙水として溜められていて,火砕物中の水は飽和に近い状態にあったと推定されます.
UAV 画像を見ると谷頭で地下水が湧出していることがわかります.
以上のことから,今回の崩壊では地下水が重要な役割をしていると言えます.
崩壊地の範囲から過去の地震の規模を推定する場合は,地震発生時の地下水状態も検討する必要があると考えます.
<感 想>
アパタイトによって,かなり古い凝灰岩の広域的な同定が可能であるというのは,非常に有効な手段になると感じました.おそらく,この研究は夕張市の白金川などで見られる白亜紀海洋無酸素事変を示す黒色頁岩の下位に凝灰岩が堆積していることから始まっているのだろうと思います.つまり,この凝灰岩の対比ができれば,海洋無酸素事変を起こした火山活動の規模を推定することが可能になります.
トンネル施工時に地山分類(支保バターン)と事前調査時あるいは先進ボーリング実施時の地山分類との乖離を定量的に明らかにした岡崎氏らの研究は,事前調査の精度を上げる上でも役に立つと思います.先進ボーリングの有用性を明らかにしたという点でも重要な研究だと思います.
池田氏らの降下軽石堆積物中の宙水が崩壊に大きな役割を果たしているという内容は,非常に勉強になりました.地震後の迅速な現地調査によって宙水が湧出している証拠も捉えているのは,さすがと思いました.
ND 代表・猿田佐世講演会(札幌) 外交のしくみを紐解く ― 2019/06/17 16:26
2019年6月15日(土)午後6時半から同8時半過ぎまで,表記講演会が札幌市のエルプラザホールで開かれました.
ND というのは,NEW DEPLOMACY INITIATIVE (新外交イニシアティブ)の略で特定非営利活動法人(NPO)です.
講演する猿田佐世氏
今回の講演は,次の内容でした.
1.安倍・トランプ外交とは
2.日米関係の今
3.日米外交の実態
4.ND の取り組み
今年5月末にトランプ大統領が国賓として来日しました.様々な意見がありますが,しっかりした土台があっての上で個人的友情での外交であれば問題ないです.また,全ての国に対して同じような態度で接するのであれば良いと思います.
トランプ大統領の来日に対する日本政府の対応について,ある有名大学のゼミの大学院生20人ほどに意見を聞いたところ,全員が「良かった」と答えたそうです.
*ある有名大学の名誉のために,ここでは大学の名前は出しませんが,さすがに猿田氏も愕然としたそうです.
このような国民を含めた態度を「自発的対米従属」と呼んでいます.
一方で,日米地位協定を見直した方が良いと考える人は,世論調査では8割以上を占めています.
人権・平等・民主主義などでの日本の評価,国際的な日本の評価,対話による平和の追求,アジア諸国との関係など,基本的な問題で日本の評価は下がっています.トランプ氏はアメリカの利益第一ですから,いつ梯子を外されるかわかりません.
アーミテージ報告に代表されるアメリカからの声は,ごく少数,5人から多くて30人の人たちが作り出しているものです.
辺野古について,アーミテージ氏は代替案が必要だと講演会で述べています.
原発は,アメリカでは斜陽産業と認識されています.
TPP は,先の大統領選挙の有力候補は皆慎重姿勢でした.
しかし,これらの情報は日本にはほとんど伝わってきません.
アメリカとは「誰」なのか,この「誰」の意図は何なのか,一方的に伝わってくるアメリカ発に変わる情報はないのか.
ワシントンは人口65万の町ですが、アメリカの情報と権力が集中しているところです.日本大使館をはじめ大企業のオフィス,大手メディア,政治家などの日本人が集まっています.
日本政府は,毎年アメリカのシンクタンクや大学,ロビイストなどに数十億円の資金を援助しています.
これらの資金を受け取っている知日派の人たちは,先に述べたように多くて30人程度だといいます.これらの人たちの共通認識は,1)日米同盟の堅持,2)米軍のプレゼンス確保,3)自由貿易です.
これらの人たちと政府,自民党国会議員などによって「アメリカの声」が作られ,あたかもアメリカの要求であるかのように日本に伝えられます.ワシントン拡声器と呼んでいます.
これに対して,具体的な政策提言を持って対抗すること,代替の外交ルートを作ること,国際的ネットワークを作ること,情報公開を要求し情報提供を図ること,がやるべきことと考えています.
<感 想>
優秀な人は,いるものだと感心しました.
日本とアメリカの「おかしな関係」を具体的に変えようとしている活動には本当に頭が下がります.今年6月11日から始まる沖縄県知事の玉城デニー氏の全国キャラバンの事務局を担当するなど様々な活動を展開しています.
ND のチラシは非常にきれいですし,ホームページ(下の URL) も洗練されています.
( http://www.nd-initiative.org )
世界に情報発信するには,見た目も非常に大事なのだということのようです.
猿田氏自身,ワシントンでロビー活動をしていますから,その経験と見聞きしたことを話されました.非常におもしろい話でした.
今回の話は,下のウェブサイトの記事が最も近い内容です.
( https://imidas.jp/jijikaitai/c-40-099-15-12-g590 )