本の紹介:動く大地、住まいのかたち2017/10/30 11:38


動く大地 住まいのかたち
中谷礼仁(なかたに・のりひと),動く大地、住まいのかたち プレート境界を旅する.2017年3月,岩波書店.

 日本とアジアはプレートテクトニクス運動の境界を通じてつながっていると講演の中で言った防災研究者の言葉をきっかけにして,ユーラシアプレートの南の境界であるインドネシアの島から地中海の出口のフェズ(モロッコ)までの住まいを訪ねた記録です。
 著者は,建築史,歴史工学,建築理論が専門です。

 プレート境界に特有の大地の姿とそこに生まれた多様な文明,同時にプレート境界で発生する自然災害,創造と破壊の二つの面を兼ね備えているプレート境界で,人々がどのような住まいをつくり,文化を紡いできたのかを見てみたいという思いから始まった旅です。

 この本を読むと,世界には自然をうまく利用しながら住む処をつくってきた人々の生活があることが良く分かります。

 なお,日本地質学会News,20巻,9号(2017年)で茨城大学の伊藤 孝氏が,この本を紹介しています。この本を読んでみたくなる優れた紹介です。

 世界のプレート収束帯については,木村 学氏の「プレート収束帯のテクトニクス」(2001年2月,東京大学出版会)にまとめられています。