「社会インフラ メンテナンス学と健康診断」講習会2017/05/24 09:15

 土木学会が出した「社会インフラ メンテナンス学」の講習会が,2017年5月23日に北大工学部フロンティア応用科学研究棟レクチャーホールで開かれました。

 この研究棟の入口ホールには,鈴木彰氏の胸像が置かれています。
 レクチャーホールはゆったりとした座席の配置で緩い階段式になっていて,落ち着いて話を聞くことができます。


鈴木彰氏胸像
写真1 鈴木彰氏胸像
 北大工学部フロンティア応用科学研究棟のエントランスホールにあります。

 社会基盤の維持・運用管理(社会インフラ メンテナンス)については大部前から問題となっていますが,全体として体系立った分野とはなっていないのが弱点でした。
 2012(平成2)年に発生した中央自動車道・笹子トンネルの天端崩落事故は大きな衝撃でした。トンネルの付帯設備である天井板の落下で起きた事故で,9名の犠牲者を出しました。

 この事故が大きな契機となり,第101代土木学会会長の橋本鋼太郞氏(元建設省事務次官)を頭にタスクフォースを結成してまとめたのが,「社会インフラ メンテナンス学と健康診断」(土木学会,2015年12月,I 総論編,II 工学編。同,2016年9月,III 部門別編,DVD付)です。


横田弘氏
写真2 開会の挨拶をする横田 弘北大教授

 トピック的な話題としては,橋梁の健全度判定のために「サンプリングモアレカメラ」の話がありました。
 北大工学部の佐藤靖彦准教授の講演で紹介されました。モアレというのは,編み目の重なりによって生じる「まだら模様」のことで,橋桁に網目模様を張って,車を走行させて写真を撮り,モアレによって変位を見るという方法です。


佐藤靖彦氏
写真3 講演する佐藤靖彦北大准教授

 また,河川管理では,空中あるいは水中でのドローンによる調査,水位計・浸水センサーのデータをクラウドに蓄積し共有する方法,100kmくらい飛行できるドローンでの広域的調査,強風のもとでも安定した飛行をしてデータが取れる全天候ドローンなどの案が紹介されました。

 土木学会では「インフラ健康診断書」の道路部門試行版を公開しています。
 全国のデータを集めて橋梁やトンネル,舗装などの健康度を5段階で評価し,維持管理体制が今後どうなるかを判定するという試みです。
 これは,個々の施設の評価ではなく,構造物毎に国内全体の状況を診断するものです。施設の健康度をA〜Eの5段階で評価し,施設の維持管理体制については上向き,水平,下向きの矢印で表すというものです。その他に,診断結果の簡潔な文章が付きます。道路部門の試行版を下のURLで見ることができます。
( http://committees.jsce.or.jp/reportcard/ )

 基礎資料としては,「道路メンテナンス年報」(国交省 道路局,最新版は平成28年)を使っています。
( http://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/yobohozen_maint_index.html )


岩波光保氏
写真4 講演する岩波光保東工大教授

 立派な会場に立派な出版物の割に,参加者が少なかったのは残念でした。