増田隆一氏講演会2017/05/22 09:43

 地質調査でヒグマに遭うことがあります。
 最初は,歩いている時ではなかったのですが,車で国道277号(八雲熊石線)を八雲町熊石から八雲町市街に向かっている時でした。夜8時過ぎでしたが,かなり大きな熊が道路を横断するように車の前を横切っていきました。
 道道知床公園羅臼線で覆道背面の岩塊除去工事に立ち会っていた時は,削岩機の音がしているにもかかわらず,子どもを2頭連れた熊が斜面を降りてきて,しばらく覆道の付近で草を食べていました。この時は,羅臼ビジターセンターの方が花火などで山へ追い返しました。
 北見の山の中で,下山中に小熊に出会ったことがあります。また,八雲厚沢部線では,道路脇で何かを夢中で食べている,割合小さな熊を見たことがあります。


ヒグマ
写真1 道路脇で食事中のヒグマ

 「ヒグマの遺伝的多様性と移動の歴史」と題する増田氏の講演会がありました。2017年5月20日(土),場所は北大のクラーク会館でした。
 この講演会は北海道自然保護協会が,一般の人も対象として総会後に開いたものです。


在田一則氏
写真2 挨拶する北海道自然保護協会会長・在田一則氏


増田隆一氏
写真3 講演する増田隆一氏

増田隆一・北大大学院理学研究院教授「ヒグマの遺伝的多様性と移動の歴史」

 増田氏の専門は動物地理学,分子系統進化学です。今回の話は,ヒグマをDNA解析によって分類すると3種に分かれるという内容です。

 ヒグマは北海道やシベリア,アラスカからカナダ,チベットやトルコに生息しています。
 北海道では毎年2〜300頭が捕獲されていて,数千頭が生息していると考えられています。
 北海道のヒグマ50数頭のミトコンドリアDNA(mtDNA)の解析から,北海道のヒグマは,道央・道北に棲むグループA,道東に棲むグループB,道南に棲むグループCの三つに分けられることが分かってきました。これは雌のヒグマの生息域で,雄の場合は行動範囲が広いため,これほどはっきりとは分かれないと言います。

 ユーラシア大陸とアメリカ大陸で見ても,この3種に分かれるとのことです。ヒグマのルーツはシベリアにあり,そこから拡散したと考えられます。世界的に見ると,北海道のように狭い地域に3種のヒグマが棲んでいる所はありません。

 熊送りの儀式で使われたヒグマは,道央や道北では春に捕獲した成獣を使いますが,道南では子どもを育てて熊送りに使います。「飼育型熊送り儀式」と言います。どこに住んでいるヒグマを儀式に使ったかが分かるので,その当時の交流範囲を推定することができます。

 今年6月中旬に増田氏の著書「哺乳類の生物地理学」(東大出版会:本体3,800円)が出版されるそうです。


すみだ北斎美術館2017/05/22 10:50

 2017年のゴールデンウィークに「すみだ北斎美術館」へ行ってきました。

 北斎の偉大なところは,もちろんその画業ですが,何よりも年を取ってからも衰えない創作意欲だと思っています。
 一番好きな絵は,長野県の信州小布施北斎館で見ることのできる屋台の天井絵です。
( http://www.hokusai-kan.com )
 北斎が85歳の時(1844年,天保十五年)に半年をかけて描いたものです。

 すみだ北斎美術館は,総武本線の両国駅から国技館の南を通り江戸東京博物館の間の歩道を北に向かい,さらに東へ行った所にあります。町の中に独特の形をした建物があり,どこから入って良いのかしばらく迷いました。

 この時は,開館記念展IIIとして「てくてく東海道−北斎と旅する五十三次−」が開かれていました。
 この美術館がつくった北斎の絵のオリジナル葉書は印刷が非常にきれいで,人に出すのが惜しくなります。


写真1 美術館北側の緑町公園から見た北斎美術館


美術館入り口
写真2 入口


展示場
写真3 展示場


東京スカイツリー
写真4 北斎美術館から見た東京スカイツリー


大英自然史博物館展2017/05/22 15:36

 国立科学博物館で「大英自然史博物館展」が開かれています。2017年6月11日(日)までです。

 1995年の春,イギリスへ家族4人で遊びに行った時,大英博物館に寄ったけれども休館中で見ることができず自然史博物館に行きました。しかし,私はレンタカーを借りるのに手間取って,入ることができませんでした。今回は,181の標本が展示されています。
 その中で,一番の売りは,入場券に印刷されている始祖鳥でしょう。


大英博物館店入口
写真1 大英博物館展会場の入口


三葉虫
写真2 三葉虫
 モロッコで収集されたカンブリア紀の三葉虫です。


濃紅銀鉱
写真3 ジョージ3世の濃紅銀鉱
 ジョージ3世は産業革命時代のイギリスの国王で,科学技術の進歩に関心を持っていました。この濃紅銀鉱は,ドイツのハルツ山地のものです。


スミスの地質図
写真4 スミスの地質図
 ウィリアム・スミスが1815年に出した世界最初の地質図です。現物を見ることができて感激です。


ゾウガメ
写真5 ダーウィンのペットだったガラパゴスゾウガメ
 ガラパゴス諸島のサンティアゴ島のものです。


始祖鳥
写真6 始祖鳥の化石
 ドイツで発掘されたジュラ紀の始祖鳥の化石です。

 このほかにも,見ものが一杯の展示です。

 帰りは,西洋美術館の庭にある「考える人」に会ってきました。いつでも,この像を見ることができるのは素晴らしいことです。


考える人
写真7 「考える人」
 ロダンが制作したブロンズ像です。この像と同じものが,西洋美術館の前庭を挟んだ反対側にある「地獄の門」の頂部に置かれています。