明神ヶ岳 ― 2017/02/20 17:47
箱根火山外輪山の北東に明神ヶ岳がある。カルデラ形成前・外輪山形成期の溶岩で構成されていて,溶岩は四つに分けられている。初期はデイサイト質で,その後,安山岩質に変わり,山頂付近を構成するもっとも新しい溶岩は玄武岩質である。この火山体の溶岩は,北東に流れ南足柄市の標高100m付近までを覆っている。
2017年2月10日(金),大山などは雪ですっかり白くなっていたが,行けるところまで行こうと出かけた。最初の目論見は,大雄山線の大雄山駅(すぐ隣のバスの停留所名は「関本」)からバスで地蔵堂まで行き,金時山へ登るつもりであった。しかし,大雄山駅に着いた時は,地蔵堂行きのバスは出た後で,1時間以上待たないと次のバスがない。そこで,バスが割合頻繁に出ている「道了尊」行きに乗ることにした。
大雄山線というのは,「大雄山最乗寺」への参拝客を運ぶための鉄道として始まったようである。最乗寺は,1394(慶永元)年3月に建立されたという(http://www.daiyuuzan.or.jp/index.html)。
1392年に南北朝が合体した直後で,後小松天皇の時代ということになる。道了尊というのは,最乗寺の守護で修験道満位の行者・相模房道了尊者のことである。道了大薩埵(どうりょう・だいさった:薩埵というのは菩薩のこと)とも呼ばれている。
バスは,大雄山駅(関本)から南東に向かい狩川を渡ってしばらく行くと,いきなり山の中へ入っていく。ヘアピンカーブのある杉林の中の道を登っていく。大雄山茶屋天んぐ本店を過ぎたところから,遊歩道があるらしい。終点の「道了尊」停留所は杉林の中である。
写真1 登山道入口付近から見た最乗寺
杉の大木の間にお寺の建物が散在している。天狗が出そうな雰囲気である。
写真2 明神ヶ岳溶岩
登山道の標高400m付近,林道に交差する手前に露出する明神ヶ岳溶岩グループ(Mj2)の安山岩露頭である。
写真3 明神ヶ岳溶岩
標高410m付近,林道黄砂直前の安山岩露頭である。変質している。
写真4 明神ヶ岳見晴小屋
登山道が横断する上の林道の少し上にある小屋である。標高660mである。この付近から雪が一面に積もっている。
写真5 標高790m付近の岩塊
この付近の尾根には明神ヶ岳山頂溶岩グループ(Mj4:玄武岩質)が分布しているとされている。
写真6 明神ヶ岳山頂溶岩グループの顔つき
斜長石の斑晶の目立つ安山岩である。登山道の標高810m付近である。
写真7 標高810m付近からの眺め
酒勾川と小田原市街,不動山・曽我山の向こうに相模湾。
写真8 標高880m付近から上を見る
雪がくるぶしまであり,足下がかなり滑る。時間も午後1時を過ぎたので下ることにした。この尾根は,明神ヶ岳山頂溶岩グループの流走面のようである。この付近の尾根の平均傾斜は12°である。この直線の登山道は,昔,木材を出した索道跡のようである。
写真9 碧落門を見上げる
二つある本堂に向かう門のうち,山側の碧落門を見上げる。「碧落」というのは「青い空」のこと。
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