H28年度 地質研究所 調査研究成果発表会2016/05/20 18:24

 表記発表会が,2016年5月19日(木)に北海道総合研究プラザ(北19条西11丁目)で開かれました。


秋田藤夫地質研究所長
挨拶する秋田藤夫・地質研究所長

 口頭発表が7件,ポスター発表が6件でした。
 口頭発表は部門別に担当部長が概要の説明を行った後に,個々の発表を行いました。

 興味を持った発表について述べます。

 内田康人氏ほかの「音響探査により屈斜路湖で確認された湖底地すべり活動」では,1938(昭和13)年の屈斜路地震(M6.1) で発生した津波の原因が湖底の地すべりによるものであることが明らかにされました。高分解能地層探査による湖底の堆積構造断面図から地すべりを推定しました。屈斜路湖南岸の和琴半島の東斜面です。

 これに関連した話題として,1741年の渡島大島の山体崩壊による津波シミュレーションの結果が,ポスターで発表されていました(川上源太郎氏ほか)。地質研究所で行った日本海沿岸の津波堆積物調査結果が基礎資料となっています。

 加瀬善洋氏ほかの「津波履歴の精度向上に向けた津波堆積物の認定手法に関する研究−化学分析・有機質微化石分析からのアプローチ−」は,泥炭層中に挟まれる砂層が海起源のものか河川起源のものかを判定する手法として,渦鞭毛藻シストや底生有孔虫を検出することが有効であること,電気伝導度とpHも指標となり得ることを示しました。
 なお,シスト(cyst)というのは,生物学の用語では「保護嚢子」(ほご・のうし)と訳されています。「動物の組織的な形態で,内部に液体や固体状のものを含む袋状の構造体の総称」(weblio辞書)です。

 地質研究所は,急速に世代交代が進んでいるという印象を強く持ちました。また,研究のレベルも上がっていると思います。
 北海道立総合研究機構の丹保憲仁理事長が出席していました。


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