函岳2015/09/14 16:59

 函岳は,JR宗谷本線天塩川温泉駅の東,約12kmにある標高1,129mの山である。山頂に北海道開発局 旭川建設部 道北レーダー雨雪量計局舎があり,砂利道ではあるが車で行くことができる。山頂には函岳ヒュッテもある。

 山頂付近は板状節理の発達した安山岩で全体になだらかな地形をしているが,所々に浸食に耐えた溶岩がコブ状に露出している。
 函岳は溶岩の流れた地形を残していて,割合新しい火山と考えられていた。しかし,カリウム−アルゴン法による年代測定では,約1,200万年前の年代が得られていて,中期中新世に噴出したものである。この函岳溶岩の分布は,北は音威子府村の咲来峠から,南は少なくとも美深町のペンケニウプ川まで南北25kmの拡がりをもち,東西幅は約20kmほどになる。

 名寄から国道40号を北に向かうと,JR宗谷線初野駅付近に「函岳30km」の看板がある。この道を案内にしたがって行くと砂利道になる。ここからは,多分林道である。「歌登62km,函岳27km。加須美峠17km」の看板がある。函岳山頂のレーダーの管理用道路でもあるようで,高圧管埋設の看板が道路沿いに立っている。


函岳入口
写真1 国道40号の案内板
 函岳が自慢の場所であることがわかる。ここから函岳頂上までは34kmである。


道々起点
写真2 道々班渓美深停車場線の起点
 この先は1車線の砂利道になる。

 しばらく森の中の道を行くと加須美峠に着く。標高は730m,入口の国道付近が標高約75mであるから650mほど登ってきたことになる。
 ここからが函岳の魅力の場所であろう。


安山岩露頭
写真3 加須美峠手前の安山岩露頭
 黒色のガラス質安山岩で,非常に硬質である。この場所は,標高が約750mほどの林道切土である。岩質,節理の状態は函岳山頂のものと異なる。
 5万分の1地質図幅「恩根内」では山頂付近を函岳火山噴出物 第2溶岩とし,その下位に同第1溶岩を描いている。両者の境界標高は,約800mである。


加須美峠
写真4 加須美峠
 ここまで来ると周囲が開けてくる。歌登45km,美深26km,函岳10kmである。


函岳山頂遠望
写真5 函岳山頂の遠望
 918m峰の西斜面から望む函岳山頂である。ほぼにあるレーダーのやや右が山頂で,左に函岳ヒュッテが見える。斜面はクマザサとハイマツが主でダケカンバが多少混じっている。
 レーダーが建っている場所もそうだが,板状節理のある溶岩の周りがなくなって残された地形がぽつぽつと見える。


函岳南斜面
写真6 最後の登り手前
 ここから大きく左にカーブし,さらに右に曲がって山頂に着く。気持ちの良い景色である。


山頂レーダー
写真7 函岳山頂のレーダー
 このレーダーが山頂の良い目印になる。手前は駐車場で,反対側に函岳ヒュッテがある。


函岳山頂溶岩
写真8 レーダーの土台の安山岩溶岩
 幅の狭い密着した板状節理が発達している。山頂標識の東側は急崖となっている。


山頂の沼
写真9 山頂の沼
 平坦な山頂には沼が形成されている。


重畳たる山並み
写真10 重畳たる安山岩の山並み

 この日は,あいにくの天気でパノラマ展望は得られなかったが,気持ちの良いドライブであった。


本の紹介:軍事立国への野望2015/09/30 13:13



軍事立国への野望
小森陽一ほか,軍事立国への野望−安倍政権の思想的系譜と支持母体の思惑。2015年8月,かもがわ出版。

 2015年9月19日(木)未明に,安全保障関連法が成立しました。この強引な進め方の背景が良くわかる本です。

 特に,「第3章 安倍政権を支える右翼団体の思惑と実態」(俵 義文)は,安倍政権が極右政権であることの背景を具体的に述べています。

 また,「第4章 「軍事立国」化に向けた財界の要望とジレンマ」(石川康宏)は,経団連や経済同友会が何を要望していて,それに対して安倍政権がどう応えてきたのかを述べています。基本的には,経団連は憲法改正を考えているのに対し,経済同友会は解釈改憲を目指しているようです。

 そのほか,「第2章 戦争ができる国家への道−日本の軍事力」(山田 朗),
「第5章 敗戦処理とアジア−政府が語る反省の意味」(内海愛子)
も読み応えがあります。


宮ヶ瀬ダム2015/09/30 18:19

 宮ヶ瀬ダムは,相模川の支流,中津川の上流にある高さ156mの重力式コンクリートダムで,治水,利水,発電を目的とした多目的ダムである。

 ダム周辺には,ダム湖に面した宮ヶ瀬湖畔園地(エリア)と鳥居原園地(エリア),ダム下流のあいかわ公園があり,憩いの場所となっている。湖畔園地は広々とした敷地に遊具や園内を周回する汽車などがあるほか,ダム湖の遊覧船に乗ることもできる。

 スケールの大きなダムにふさわしく,観光や遊ぶ場所が一杯である。


宮ヶ瀬ダム原石山と堤体
写真1 タム堤体と原石山跡
 遊覧船から見たダム堤体(右)と原石山跡(左の斜面)である。この原石山で掘削した岩石は縦坑や斜坑で投下して,法面にはアプローチ道路を設けなかった。
 ダムサイトおよび原石山の地質は,後期中新世の中津峡層の火山砕屑岩である。


宮ヶ瀬ダム堤体
写真2 湖から見たダム堤体
 ダム堤体の構築は,RCD工法で行われた。この工法は,非常に固く練ったコンクリートをブルドーザで敷き均し振動ローラで締め固める。
 宮ヶ瀬ダムでは,ダンプに積んだコンクリートをインクラインで降ろして施工した。このインクラインは,現在観光用に運行されている。


宮ヶ瀬ダム虹の大橋
写真3 宮ヶ瀬虹の大橋
 橋の長さは約330m。逆ローゼ型の橋である。路面がアーチの上に載っている開腹式の上路アーチである。


宮ヶ瀬ダム鳥居原
写真4 鳥居原園地を湖から見る
 ダム湖の北東岸にあたるこの尾根は,ダム湖面からの比高が約30mと低く,500mほどで北にある串川の流路となる。尾根付近は砂礫層からなっていて,止水のためにコンクリートの地下連続壁を構築した。壁の厚さ1m,延長420m,深さ76mである。
 この付近は,北西−南東方向の煤ヶ谷断層が通っている。

参考ウェブサイト:http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranA/All.cgi?db4=0703