本の紹介:ノンテクトニック断層 ― 2015/03/24 14:14
ノンテクトニック断層研究会編著,ノンテクトニック断層 識別方法と事例。近未来社,2015年3月。
表記の本が出版されました。ノンテクトニック断層研究会を組織し,10年以上にわたって資料整理と編集を行ってきた成果です。51の事例の収集だけでも敬服に値します。
元・株式会社ドーコンの永田秀尚氏(現・有限会社風水土)、元・地質研究所(現・株式会社ドーコン)の田近 淳氏,地質研究所の廣瀬 亘氏を含め,15名が執筆しています。
地質調査では地すべり運動なのか,もともとの地質構造的なずれ(断層)なのかの判断に迷うことがあります。この本を読めばすっきりと判断できると言うわけにはいきませんが,少なくとも構造運動によらない断層についての基本的な考え方,見方,具体的事例を知ることができます。
第2章では,斜面変動,多重山稜形成,バレーバルジング,軟質な第四紀堆積物,地震動,火山活動,テクトニック断層のノンテクトニック断層への転化,地盤構成物の体積変化,陥没やダイアピルなどについて留意点を述べています。
第3章以降に示された事例を見ると,地質現象は実に複雑であり,注意深く様々な現象に注意を向けていないと判断を間違う可能性があると言うことを痛切に感じます。
例えば,河川堆積物のチャネル壁で見られる崩壊構造などは活断層と間違えやすいですし,地すべりのすべり面がもともとはテクトニック断層であった例も判定が難しいと感じます。
目次は次のようになっています。第3章から第6章の事例数は追記です。
まえがき
第1章 ノンテクトニック断層とその研究
第2章 形成要因から見たノンテクトニック断層とその識別
第3章 事例:重力性断層(22事例)
第4章 事例:地震動による断層(18事例)
第5章 事例:火山活動による断層(8事例)
第6章 事例:その他の要因による断層(3事例)
第7章 課題と展望
あとがき
我々が扱う自然には様々な現象があり,その形成過程についてあらゆる可能性を考える必要があることを教えてくれる本です。
暖かくなったとは言え3月 ― 2015/03/24 16:50
札幌もすっかり暖かくなりました。とは言っても,まだ3月。
写真1 札幌の郊外
札幌の伏籠川(旧豊平川)の自然堤防周辺は「札幌黄」と呼ばれるタマネギの産地です。タマネギ畑は,まだ白一色です。右に手稲山,かまぼこ型屋根の向こうに藻岩山です。
写真2 モエレ沼
多分,石狩川の残した三日月湖です。まだ氷が張っています。スノーモービルの跡が残っています。
写真3 氷の溶けた沼に鴨
カモ,アオサギ,トンビがメインキャストです。
写真4 エゾマツ林の影には雪
除雪跡の雪がうずたかく残っています。
写真5 モエレ山
北西側(左)は風で雪が飛ばされて少ないため,早く地面が現れます。見る角度によって全く違った様相を示します。
写真6 夕焼けの手稲山
手前の雪の原は豊平川の高水敷で牧草地です。手稲山の平坦な山頂尾根が印象的です。
写真7 渡り
これはカモだと思います。夕暮れ時,南に向かって飛んでいます。鳴きながら北に向かう白鳥の群れも見ます。