札幌国際スキーマラソン大会2012/02/18 15:01

 さすがに,この時期になると日差しが強くなり,雪解けが近いことを実感できます.
 1月中は寒くて雪が多くて,ほんとの冬という感じでした.節分を過ぎ,2月5日の札幌国際スキーマラソン大会(札幌クロカン)を過ぎ,雪祭りも終わって,厳しかった冬も終わりに近づいています.

 札幌クロカンは,今年も25kmに出ました.気温は低かったけれど風はなく,スキーはよく滑りました.3時間は切れるだろうと思っていたけど,3時間10分かかってしまいました.まあ,練習不足でした.

 例年に比べて,圧倒的に参加者が少なかったような感じがしました.かっては,更衣室が大混雑で荷物を置く場所もないという状態でしたが,今年はゆったりと準備をすることが出来ました.

 私が初めて参加した時は,スタート・ゴールが羊ヶ丘展望台で,最後の登りがとてもきつかったのです.この時は,白旗山がちょうど30km地点で,そこでも記録をとってくれていました.
 ですから,とにかく50kmに登録して,白旗山で完走するか止めるか考えると言うことが出来ました.

 最初は,うろこ付きの歩くスキーで7時間少々かかって50kmを完走していました.その後,歩くスキーではなく,止めワックスを塗るクラシカルスキーに変え,さらにスケーティング用のスキーに変えました.

 順位は下から数えた方が早いですが,楽しみながら,もうしばらく25kmに挑戦しようと思っています.

 
大会前日のスタート地点
 ドームの南側を通り,羊ヶ丘通に架かる陸橋を渡ってスタート地点に向かう.遠くに見える森の辺りが羊ヶ丘展望台です.

 
スタート地点でRCチップ用のケーブルを埋設中
 天気が穏やかだと良いですが,風のきついときは辛いだろうと思います.この日は,ちょっと雪が舞っている程度でしたが,昼過ぎでも気温はマイナス5度以下です.

 
残り3km付近からの眺め
 ここまで来ると,後は緩い下りでゴールに向かいます.月寒川の支流ラウネナイ川に挟まれたこの圃場は,約10万年前頃の中位段丘堆積物で構成されています.
 雪でまぶしくて画像が確認できず,写真が傾いています.

 
ゴール地点
 大会当日は足はガタガタで踏ん張りがきかず,最後の直線がつらい.


土木学会誌「土木再考 技術の粋を集めてーバックエンド事業のいまー」2012/02/21 22:27

 土木学会誌の2012年2月号で標記の特集を組んでいます.バックエンド(back end)と言うのは「後の端」のことで,「核燃料サイクルの最終過程」あるいは「使用済み燃料の再処理過程」として英和辞書に載っています.この特集での意味は,「発電が終わった後の処理・処分にかかる工程(原子力施設の廃止措置,放射性廃棄物の処理・処分などが該当する)」(企画趣旨 より)と言うことです.

 この特集記事がいつ書かれたものか示されていませんが,何とも,のどかな論調だというのが印象です.と言うのも,いま特集を組むのであれば,3.11で事故を起こした原子力発電所をどうするのかが一番知りたいことです.しかし,この特集の記事は,淡々と原子力施設の廃止措置や地層処分,地層処分の工学技術について述べています.2012年1月号に続く「土木再考」特集の一つと言うことのようです.

 この特集記事によれば,2011年10月時点で運転年数が30年以上の原子炉は,全世界で162基で全体(433基)の37%です.通常の運転をしている原子炉の解体と廃棄物処理の費用は,1基あたり約550億円とされています.つまり,今後10年から20年のうちに全世界で約90兆円が廃止措置に必要な経費となります.市場としては非常に魅力的であることは確かで,技術革新が必要でしょう.

 この特集が,原子力発電に関わっている人たちの現在の意識を正直に反映しているという点で,参考になると感じました.

 学会誌なので,一般には目に触れることは少ないですが,札幌であれば札幌市中央図書館(http://www.city.sapporo.jp/toshokan/index.html)に行けば読むことが出来ます.

紹介「原発のコストーーエネルギー転換への視点」(大島堅一:岩波新書)2012/02/29 18:16



 発電のコストは、本当はどうなっているのか。1970年から2010年度までの実際のコストの平均では、次のようになっているそうです。大島氏の計算は実績であることに注意して下さい。

         大島氏の計算   平成21年度エネルギー白書            単位
 原子力 :     10.25                    5〜6               円/キロワット時
 火力  :        9.91                     7〜8                   〃
 水力  :         7.09                             8〜13                              〃
  一般水力:      3.91                      ー                      〃
  揚水水力:     53.07                      ー                   〃

 著者によれば原子力は、もっともコストが高いことになります。火力、水力については、大島氏の計算もエネルギー白書の数字も、それほど大きな開きはありません。原子力発電のコストだけが2倍近く違っています。この差は何に由来するのかが問題です。

 エネルギー白書では、研究開発コストや立地対策コストが含まれていないのが特徴です。原子力関連のこれらのコストは、他に比べて10数倍かかっています。さらに、原子力の場合は放射性廃棄物の処理や原子炉の解体にかかるバックエンドコストが膨大な額になります。この費用はどちらでも見込んでいません。
 ただし、再処理費用は、すでに電力料金として1世帯・1月当たり約250円徴収されています。

 さらに注目されるのは、原子力発電所を止めた場合に必要となる追加的コストと原発を止めることによって得られる便益の最低限の金額を試算していることです。
 それによると、原発を止めるための費用は今後15年間で年平均約2兆円です。これに対して、原発の運転費用、再処理費用、高レベル放射性廃棄物処理費用、技術開発費・立地対策費などの要らなくなる費用を合計すると年平均約2.64兆円です。原発を止めることによって年間で約6400億円が浮くことになります。

 技術的には、今後も廃炉や放射性廃棄物処理のための技術開発が必要であることも書かれています。
 また、日本のエネルギー政策を変えるには若者の力が必要と考え、「大学入学したての一年生が読んでも理解できるように努力しました。」と「あとがき」で述べています。

 多くの人が読んで、エネルギー政策を含めた社会のあり方を考えるきっかけにして欲しいと思います。