ダーウィン一族はハプログループ R1b2010/02/15 22:12

 チャールス・ダーウィンはクロマニヨン人からずっと続く系統であることが判った.
 オーストラリアに住むダーウィンの玄孫(げんそん:やしゃご:チャールス・ダーウィンの孫の孫)であるクリス・ダーウィン氏(Mr.Chris Darwin,48才)の DNA(男性であるので Y 染色体)を調べたところハプログループ Rb1であることが判明した.どうやら,彼は南ロシアのごつごつしたコーカサス山脈を横断して,黒海のステップに達した女性達の子孫であるらしい.
 クリス氏は,曾祖父がダーウィンの息子で天文学者のジョージ・ダーウィン(George Darwin)である.クリス氏は1986年にオーストラリアに移住し,シドニー郊外に住んでいる.
 ダーウィンの遠い祖先は45,000年前頃にアフリカを去り,5,000年後にイランあるいは中央アジアで新しい系統に枝分かれした.そして,西方のヨーロッパに向かう前に,次の変異が35,000年前頃にある男性に現れた.
 南イングランドの男性のほぼ70%がハプログループ R1b に属していて,アイルランドとスペインの一部では90%以上に達している.
(以上は,ジャパンタイムスウィークリー,2010年2月13日号の科学欄の記事による)

 DNA の中には親の持つ DNA がそのまま子孫に伝わるものがある.母親から子供に伝わるのがミトコンドリアDNA で,男性で継承されるのが Y 染色体を構成するDNA である.これによって女性と男性の系統が,それぞれどのように分岐していったのかを知ることができる.特に研究が進んでいるのがミトコンドリアDNA でかなりデータが揃っている.一方,Y 染色体は世界各地での変異の全貌が明らかになりつつある段階である.

 「ミトコンドリア・イヴ」から「現生人類」が枝分かれしてきたことが,ミトコンドリアDNA を使って明らかにされたのは1987年である.そして,このミトコンドリア・イヴはアフリカ起源である.ただし,これは一人の女性を起源とすると言うことではなく,19万年前頃に生きていた2,000〜10,000人のアフリカ人を核とする集団に由来すると考えられている.

 ハプログループというのは,共通の祖先を持つ遺伝子の型からなるグループと言うことで,ハプロ(haplo-)とは「単一の」と言う意味である. Y 染色体については A から R のアルファベットによって主な遺伝子系統が表されている.

 現在明らかにされているヨーロッパへの遺伝子系統の拡がりは,ペルシャ湾のホルムズ海峡の北岸付近から5万〜4.5万年前に黒海の南を通って広がったものと3.3万年以降にコーカサス山脈を通って黒海東岸,ドニエプル河中流を横切って西ヨーロッパに広がったものとがあるとされている.ハプログループ R は後者の系統である.

参考文献

日本人になった祖先達,篠田謙一,NHKブックス

人類の足跡10万年全史,S.オッペンハイマー,草思社